おはようございます、ゆきちゃんママです😊
今日は、大学で担当している授業で取り上げた絵本
『そんなこともしらないの?』(パク・ジョンソプ/作)
を題材にしたお話を紹介します。
きっかけは一冊の絵本
この絵本は、ある日、魚の群れの中で「赤い魚が風邪をひいているらしい」という噂が広がるところから始まります。
その噂を流したのは――アンコウ。
他の魚たちは確かめもせずに信じ、赤い魚を仲間はずれにしてしまいます。
やがてその赤い魚は、アンコウに食べられてしまうのです。
まるでSNSでの“デマ”や“集団排除”を思わせるような、
現代社会にもつながる深いテーマの絵本です。
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授業のテーマ:「悪いこと」と「犯罪」はどう違うのか
この日の授業テーマは、「犯罪とは何か」ということで、
「悪いこと」と「犯罪」は何が違うのか?について考えました。
学生たちと一緒に、絵本の登場人物たちを題材に考えていきます。
アンコウは嘘の情報を流して、魚を食べてしまった。
他の魚たちも、確かめもしないで赤い魚を追い出した。
たしかに、どちらも「悪いこと」には違いありません。
でも、それって犯罪なんでしょうか?
学生たちの考え
ディスカッションでは、こんな意見が出ました。
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「アンコウは人をだましてるから、“詐欺罪”っぽい?」
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「いや、食べてるから“殺人罪”かも…」
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「追い出した魚たちは、“共犯”になる?」
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「でも、魚の世界に法律ってあるの?(笑)」
そこから議論は、
「悪いこと=道徳的に間違っていること」
「犯罪=法律によって罰せられること」
という違いに発展していきました。
つまり、“すべての悪いことが犯罪ではない”という発見です。
アンコウは何罪?
「アンコウは何の罪になるだろう?」
学生たちと一緒に考えてみると、意外といろんな答えが出てきました。
この議論を通して、「嘘をつく=悪いこと」だけれど、
“嘘をどんな目的で使ったか”によって、罪の重さが変わることを理解してもらいました。
たとえば、単なるいたずらなのか、他人をだます意図があったのか。
そこに“故意”や“結果の予見”があれば、
「犯罪」として裁かれる可能性が出てきます。
小さな魚たちは何罪?
アンコウの嘘を信じて、赤い魚を追い出した小さな魚たち。
彼らにも責任はあるのでしょうか?
ここで学生たちからは、こんな意見が出ました。
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「アンコウの言葉をうのみにして行動したから、殺人教唆罪?」
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「直接手を下していなくても、“間接的に加害した”なら罪になるかも」
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「でも、だまされていたなら“過失”であって、罪にはならないのでは?」
そこで私は、
「誰かの言葉を信じて行動してしまったとしても、
“調べなかった責任”や“結果を予見できたかどうか”が問われることもあるよ」
と伝えました。
実際、社会の中でも“知らなかった”では済まされないケースはあります。
たとえば、デマを広めた人が名誉毀損や業務妨害で責任を問われることも。
小さな魚たちは、まさに「情報を鵜呑みにした」ことの危うさを象徴しているのです。
授業のまとめ
最後に学生たちがたどりついたのは、
「悪いことは“心のルール”に反すること、犯罪は“社会のルール(法律)”に反すること。」
という整理でした。
アンコウのしたことは“悪いこと”ではあるけれど、法律がなければ「犯罪」とは言えません。
逆に言えば、社会がどんな行為を“犯罪”として扱うかは、
その社会の“価値観”を映す鏡でもある、という気づきにもつながりました。
おわりに
「悪いこと」と「犯罪」のちがいを考えることは、
単に法律を学ぶことではなく、
“社会で生きるってどういうこと?”を考える入り口でもあります。
絵本を通して法の世界に一歩踏み出した学生たちの議論は、
とても新鮮で、そして少し哲学的でもありました。
子ども向けの絵本から、
大人が考える「社会の正しさ」を見つめ直す——
そんな時間になりました🐠✨
おまけ
ちなみに、たろこじろこチーズくんに聞いてみたら、アンコウは悪くて、泥棒なんだそうです。
まだまだ、2年生も年少さんも、犯罪者は泥棒だそうです。
確かに、犯罪の大半は窃盗だもんね!
今日も最後まで読んでいただいてありがとうございました。
